ベリリウム銅合金は石油産業において広く使用されており、非磁性のビットカラー、フレキシブルドリルカラー、MWD/LWD用耐圧外筒、パルサー、ネジ付きコネクター、鉱山・シェールガスなどの炭化水素採取用工具、非磁性ドリルカラーなどに利用されています。
中国の石油探査・掘削技術の進歩により、掘削制御システムの研究が成功し、先進的なMWD/LWD無線随掘測定技術のブレイクスルーが達成され、中国の探査技術が世界的水準に達したことを示しています。
中国製の高強度等軸晶ベリリウム銅製MWD/LWD外筒は、140MPaの外圧に耐え、マグマや砂泥の長時間の摩耗にも耐える性能を有し、アメリカ製品と同等の使用効果を発揮しています。
中海油のDrilog随掘測井システムでは、DIM(MWDシステム)、DSM(工学パラメータ測定装置)、ACPR(抵抗率・ガンマ統合測定装置)など、複数の機能短節が使用されており、これらは機械的・電気的に接続されて測定システムを構成しています。
図2に示すように、MWD短節とDSMの接続部には、ハードコネクタとアダプタヘッドが使用されており、いずれもC17200ベリリウム銅合金で作られています。
これらの部品は:
接続の信頼性
内部流路の通過性
電力と信号の安定伝達
高耐食性と高疲労強度
といった要求に応える必要があります。
定向掘削では井眼軌道制御のため、非磁性ドリルパイプの後端に測定探管を取り付けますが、非磁性材料の採用により、探管とビットとの距離が増加し、精度に影響します。
そのため、非磁性素材としてベリリウム銅が選定され、従来の通常のモータ外管の代替として非磁性モータ工具が開発されました。
ベリリウム銅製の非磁性モータの利点:
通常のモータによる磁気干渉の回避
非磁性ドリルパイプの使用回避による測定誤差の縮小
周囲磁場の遮断による磁気測定精度の向上
井眼軌道の精密制御や、地層情報のリアルタイム取得・伝達には、近ビット計測装置の性能が重要です。
中海油では、ベリリウム銅を電池筒とその尾部固定部材に採用した近ビット測定短節を開発しました。
中石化では、**N1310B(非磁性ドリルカラー材料)とQBe2(ベリリウム銅)**を比較。ベリリウム銅は以下の点で優れています:
肉厚に対するトルク耐性と応力範囲が広い
トルク入力に対する感度が高い
高弾性係数と高降伏強さにより、変位量を増やし信号処理回路のゲインを低減し、測定精度と耐ノイズ性を向上
ベリリウム銅は広く使用されている一方で、以下のような問題も報告されています:
例1:晋煤寺河鉱山での定向掘削では、1,008mの掘進に成功しましたが、別鉱山で2,000mに到達せずドリルロッドが破断し、探管・非磁性ロッド・モーターが孔内に落下しました。
例2:2020年12月28日、中海油のEP24-2プラットフォームで工具の断裂事故が発生。MWD測定中に信号が途絶し、解体した結果、ハードコネクタの破断が確認されました。
原因:
ベリリウム銅は時効処理後、引張強度が1000MPa以上になる一方で、伸び率が5%未満となり、靱性が低下して脆性破断しやすくなる
熱処理条件・加工・表面処理不良も破断原因となり得る
ベリリウム銅は優れた材料特性を持ち、多くのハイエンド分野で使用されています。随掘測井では、その非磁性・高強度・高導電性・高耐腐食性が他の材料では代替困難な性能を発揮しています。
しかしながら、使用に伴い問題も露呈しており、より適切に活用するには、材料特性を深く理解し、適切な熱処理・表面処理・加工標準を整備することが必要です。それにより、自社に最適な高品質ベリリウム銅製品の安定供給が可能となります。