Ti-8Al-1Mo-1V チタン合金 | AMS4972（Ti-8-1-1）

Ti-8Al-1Mo-1V は、米国で AMS4972（Ti-8-1-1）に対応し、ASTM B348 および AMS4971/4972 規格に適合しています。高温構造部品、航空宇宙、エンジン部品などに広く使用されています。

Ti-8Al-1Mo-1V は準 α 型チタン合金であり、α 安定化元素 Al と同晶型 β 安定化元素 Mo、V を含んでいます。この合金は高い弾性率と低密度を持ち、工業用チタン合金の中で最も高い比剛性を誇ります。室温での引張強度は Ti-6Al-4V 合金と同等ですが、高温強度およびクリープ耐性は Ti-6Al-4V 合金より優れています。ただし、Ti-8Al-1Mo-1V 合金は Ti-6Al-4V 合金より熱塩応力腐食に対する感受性が高くなります。本合金はさまざまな溶接方法に対応でき、溶接性能も優れています。溶接後の靭性は若干低下するものの、溶接強度は母材とほぼ同等です。

化学組成（%）

• Mo = 0.75%～1.25%

• Ti = 残部

• Al = 7.35%～8.35%

• Fe ≦ 0.30%

• C ≦ 0.08%

• N ≦ 0.05%

• H ≦ 0.015%

• O ≦ 0.12%

• Y ≦ 0.005%

物理的特性

• 室温密度：4.37g/cm³

• 室温弾性率：118 GPa

• ポアソン比：0.3

• 硬度：275～313 HB

• 相変態温度：1040℃

• 降伏強度 (σ0.2)：≥ 825 MPa

• 引張強度 (σb)：≥ 895 MPa

• 伸び：≥ 10%

• 弾性率：110 GPa

• 硬度：約 300 HB

• 使用温度：≤ 500°C

• 熱伝導率：7.2 W/(m·K)

製品形態

棒材、板材、管材、線材、帯材、鍛造品、機械加工品に対応。表面処理や熱処理も可能。

材料の特長

• 低密度（4.42g/cm³）かつ高比強度

• 450～500°C の高温でも優れた強度とクリープ耐性を維持（最大長期使用温度 450℃）

• 低密度かつ高弾性率により、航空宇宙およびエンジン部品に最適

• 加工性はやや難しいが、溶接・鍛造が可能

主な用途

Ti-8Al-1Mo-1V は、航空宇宙、ガスタービン、エンジン部品など、高温強度とクリープ耐性が求められる用途に広く使用されています。具体的な適用例は以下の通りです。

• 航空エンジン部品（コンプレッサーブレード、タービンディスク、ケース）

• 航空機構造部品（高温フレーム、バルクヘッド、接続部品）

• ターボチャージャー部品

• 宇宙機構造部品

• 軍用装備品（高温負荷部品）

熱処理プロセス

Ti-8-1-1 は主に α 相で構成されているため、熱処理方法は限られています。一般的な処理方法は以下の通りです。

1. 焼鈍処理（Annealing）

• 温度範囲：705～815°C

• 冷却方法：空冷または炉冷

• 目的：寸法安定性の向上、機械的特性の最適化

2. β 固溶処理（あまり使用されない）

• 温度範囲：900～950°C（β 相領域）

• 冷却方法：空冷または水焼入れ

• 目的：強度向上（ただしクリープ特性に影響を与える可能性あり）

一般に、本合金は α 相の安定性を重視するため、強い熱処理はほとんど行われません。

Ti-8-1-1 と他のチタン合金の比較

加工と溶接

• 機械加工：Ti-6Al-4V よりやや加工しにくいが、一般的なチタン合金加工方法が使用可能

• 溶接性：TIG 溶接が可能、ただし厳格な不活性ガス（アルゴン）保護が必要

• 鍛造：鍛造温度 900～950°C、冷却速度の厳密な管理が必要（組織不均一化防止）

価格と生産基準

価格は、仕様、数量、納期などの要件に応じてお見積もりいたします。

生産基準として、米国 ASTM B381 規格や中国 GB/T 3620.1 規格など、お客様の要件に合わせた規格に対応可能です。

お問い合わせ

• メール: genieoffice.cn@gmail.com