Grade 7 (Ti-0.2Pd)チタン合金

概要

Titanium Grade 7 (Ti-0.2Pd) は、UNS番号 R52400 に分類される優れた耐食性を持つチタン合金です。工業用純チタンに少量の貴金属であるパラジウム (Pd) を添加したα型チタン合金であり、パラジウムの添加によって、還元性環境における耐食性が大幅に向上し、酸化性環境においても耐食性が改善されます。特に、高温・高濃度の塩化物を含む環境下では、Titanium Grade 7 は最も優れた隙間腐食耐性を示します。また、工業用純チタンと同様の用途を持ちますが、パラジウムの添加によるコスト増加のため、Titanium Grade 7 は工業用純チタンでは耐食性が不足する場合に選択されます。

Titanium Grade 7 は、希塩酸、希硫酸、希リン酸などの環境で使用され、チタン設備の隙間腐食防止のために広く利用されています。例えば、シェル＆チューブ式熱交換器や紡糸用スピナレットなどの部品に使用されます。また、アセトアルデヒド生産設備では、Titanium Grade 7 はチタン製フランジライナーリングやダイヤモンドガスケットの製造に大量に使用されており、その他の装置でもフランジやジョイントなどの隙間のある部品に使用されています。さらに、この合金はC₂H₂Cl₂（ジクロロアセチレン）生産の構造材料としても使用されます。

Titanium Grade 7 (Ti-0.2Pd) は工業用純チタン (Gr2) の改良版であり、酸性環境や塩化物環境での優れた耐食性により、化学工業、海洋産業、エネルギー産業で広く使用されています。機械的特性はGr2と類似していますが、耐食性が大幅に向上しているため、過酷な環境での使用に適しています。

製品形態

• 板材、棒材、管材、帯材、線材、鋳造品、鍛造品、機械加工部品

合金特性

• 密度：4.52 g/cm³

• 室温弾性率：103～107 GPa

• ポアソン比：0.34～0.4

• 相変態温度：913℃ ±15℃

• 硬度 (HRB)：90～100

化学組成（質量百分率, %）

• チタン (Ti)：残量

• パラジウム (Pd)：0.12%～0.25%

• 窒素 (N)：≤0.03%

• 鉄 (Fe)：≤0.3%

• 酸素 (O)：≤0.25%

• 炭素 (C)：≤0.08%

• 水素 (H)：≤0.015%

Titanium Grade 7 の主な特長

1. 卓越した耐食性

• パラジウムの添加により、強酸、塩化物、還元性環境（海水、酸性溶液、湿潤塩素ガスなど）で優れた耐食性を発揮します。

• 特に隙間腐食や孔食に対する耐性が非常に高いため、化学工業、海洋エンジニアリング、塩素アルカリ産業に適しています。

2. 優れた機械的特性

• Titanium Grade 2 (Gr2) に近い機械的特性を持ちますが、高温・高腐食環境ではさらに優れた性能を発揮します。

• 優れた溶接特性を持ち、熱影響部（HAZ）による性能低下がほとんどありません。

3. 優れた加工性

• Gr2と同様の成形性・溶接性を持ち、熱処理、溶接、切削加工、冷間加工が可能です。

4. 水素脆化耐性の向上

• パラジウムの添加により、水素吸収の感受性が低減し、水素脆化の発生が抑えられます。その結果、材料の寿命が延長されます。

主な用途

1. 化学工業

• 耐食性配管、貯蔵タンク、熱交換器、バルブ、ポンプケース

• 塩酸、硫酸、リン酸などの酸性環境に適用

• 塩素アルカリ産業、電解装置

2. 海洋産業

• 海水淡水化設備

• 海洋プラットフォーム、船舶配管、コンデンサー熱交換管

3. 航空宇宙

• 燃料システム部品

• 構造支持部品

4. 医療機器

• 人工インプラント（特定のケースで使用）

• 手術器具

Titanium Grade 7 と他のチタン合金の比較

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