ベリリウム銅合金の鍛造工法
鍛造は、ベリリウム銅合金の製造における重要な工程の一つであり、材料の機械的特性と緻密性を向上させることができます。鋳造時に発生する気孔や偏析を除去し、材料内部の組織構造を改善します。
原材料の選定:成分が均一で純度の高いベリリウム銅合金鋳塊を選定します。
予熱処理:鍛造前に400~600℃で予熱し、加工中の応力と変形を抑え、鍛造品質を高めます。
初鍛(粗鍛造)
加熱温度:650~800℃
作業内容:大型ハンマーまたはプレス機で荒加工を行い、形状を変化させながら欠陥を除去し、組織を改善します。
中間鍛造
再加熱:初鍛後の素材を再度加熱
加工内容:複数回の中間鍛造を行い、密度と機械的特性をさらに向上させます。最終形状に近づけます。
終鍛(仕上げ鍛造)
温度:500~700℃(やや低温)
工程:精密鍛造用金型とプレス機を用いて、最終的な形状と寸法に仕上げ、寸法精度と表面品質を確保します。
熱処理:鍛造後には時効処理などの熱処理を施し、機械的性能と安定性をさらに向上させます。
検査:超音波検査、X線検査、機械特性試験などで品質確認を行います。
ベリリウム銅丸棒の製造では、「押出」および「引抜」工程が非常に重要です。これらの加工を通じて、高精度・高性能の丸棒製品を得ることができます。
材料準備
・高品質の鋳塊を選定し、表面の清掃と予熱処理を行います。
押出工程
・加熱温度:650~850℃
・設備:油圧式や機械式押出機を使用し、加熱した鋳塊を金型を通して丸棒に成形します。
・押出速度:速度と圧力を制御して、均一な構造と良好な表面品質を確保します。
冷却と矯正
・冷却:押出直後に冷却し、変形と酸化を防止します。
・矯正:冷却後、真直度と寸法精度を確保するために矯正処理を施します。
準備工程
・表面の酸化膜や欠陥を除去し、必要に応じて予熱処理を実施。
引抜工程
・設備:引抜機を用い、複数の引抜ダイスを通して段階的に直径を小さくし、寸法精度と表面品質を向上。
・工程パラメータ:引抜速度、ダイスの角度、潤滑条件などを制御し、加工の安定性と品質を確保します。
熱処理と冷却
・熱処理:引抜後に時効処理などの熱処理を施し、機械的特性と組織安定性を向上。
・冷却:熱処理後は迅速に冷却し、寸法と形状を保持します。
品質検査:寸法測定、表面検査、機械試験を通じて、製品の仕様適合性を確認。
表面処理:必要に応じて研磨やメッキ処理を行い、耐腐食性と外観を向上。
包装・保管:輸送時の損傷を防ぐため、適切な包装と保管を行います。
ベリリウム銅合金の鍛造および押出・引抜加工は、高品質製品を製造する上で極めて重要なプロセスです。精密な工程管理と厳格な品質管理を通じて、高強度・高熱伝導性・高耐摩耗性を備えたベリリウム銅製品を安定的に供給でき、電子機器、電気設備、航空宇宙、自動車などの高要求分野で広く活用されています。